第七番 十楽寺
十楽寺について
四国八十八箇所第七番札所である十楽寺は、大同年間(806-810)に弘法大師空海によって開創された寺院です。
当初は現在地から北に約3キロメートル離れた十楽寺谷の堂ヶ原に位置していました。
寺名の由来には深い意味が込められています。
弘法大師がこの地で阿弥陀如来を感得して樟材で仏像を刻んだ際、人間が避けることのできない生・老・病・死・愛別離苦(愛する者との別れの苦しみ)・求不得苦(求めるものが得られない苦しみ)などの八つの苦しみを、阿弥陀如来の慈悲により克服し、十の光明に輝く楽しみが得られるようにとの願いを込めて、「光明山十楽寺」と名付けました。
創建後、十楽寺は阿波北方随一の七堂伽藍を誇る大寺院として栄えましたが、天正10年(1528)、長宗我部元親の兵火により堂塔のすべてが焼失します。
しかし、本尊は時の住職が背負って避難したため難を免れ、創建時からの御本尊が今日まで伝えられています。
寛永12年(1635)、寺は現在地に移転して再建され、平成6年(1994年)には新たに木造の本堂が建立されました。
現在の境内には、朱色と白の鮮やかな中国風の門をくぐると、正面に水子地蔵尊が祀られています。
その横の石段を上ると中門(愛染堂・遍照殿)があり、ここには良縁を結び、悪縁を断つ両様の願いに応える愛染明王が祀られています。
境内には本堂を中心に、客殿、方丈が配され、大師堂は本堂左手の石段を上がった場所にあります。
本堂左前には「治眼疾目救歳地蔵尊」が安置され、古くから眼病や失明の治癒に霊験あらたかとされ、眼病に悩む参拝者が多く訪れています。
また、境内には太平洋戦争で特攻により散華した海軍飛行予備学生13期生の慰霊と恒久平和を願って建立された十三不動明王の巨大石仏も安置されており、平和への祈りを伝えています。
このように十楽寺は、人々の苦しみを慈悲で包み込むという創建以来の精神を今に伝えながら、時代とともに新たな祈りの場としての役割も担っている寺院です。
- 創建
- 大同年間(806〜810)
- 開基
- 弘法大師
- 宗派
- 真言宗単立
- 御本尊
- 阿弥陀如来(伝弘法大師作)
- 御真言
- おんあみりたていせいからうん
- 御詠歌
- 人間の八苦を早く離れなば
到らん方は九品十楽
- 住所
- 〒771-1509 徳島県阿波市土成町高尾字法教田58
- 電話
- 088-695-2150
- 駐車場
- 有料(普通車20台、大型バス5台)
- アクセス
- 公式サイト
- https://jyuurakuji.com/
- 霊場会サイト
- https://88shikokuhenro.jp/07jurakuji/
- Wikipedia
- https://w.wiki/CCUA