第六番 安楽寺
安楽寺について
四国八十八箇所第六番札所である安楽寺は、その山号「温泉山」が示すように、古くから温泉と深い関わりを持つ寺院です。
かつてこの地域には鉄錆色の温泉が湧き出ており、その効能は万病に効くとされ、遠方からも多くの湯治客が訪れました。
現在も大師堂前では温泉が湧出しています。
安楽寺の起源は弘法大師の四国行脚に遡ります。
この地を訪れた大師は、ここが病疫から人々を救う薬師如来と深い因縁で結ばれていることを直感し、薬師如来座像を刻んで堂宇を建立し、八十八箇所の第六番札所と定めました。
元禄2年(1689)の『四國遍禮霊場記』には、「医王の神化を人みな仰ぎ寺院繁栄に至り、十二宇門甍を接し鈴鐘のひびき絶える時なし」と記されており、当時の繁栄ぶりが伝えられています。
寺は当初、現在地から約2キロメートル離れた安楽寺谷にありましたが、天正年間(1573-1592)に長宗我部軍の兵火により焼失し、万治年間(1658-1661)に現在地に移転しました。
安土桃山時代には阿波藩祖・蜂須賀家政公により「駅路寺」に定められ、四国遍路や旅人のための宿泊施設と茶湯接待所が置かれました。この時の記録である「駅路寺文書」(1598年)は現在も残されています。
江戸時代には、山門に蜂須賀家の家紋入り雪洞を掲げることを許され、寺域は殺生禁断の地とされました。
現存する茅葺き屋根の方丈は、約250年前に蜂須賀家により寄進された質実剛健な木造建築です。
現在の本尊・薬師如来像には感動的な物語があります。
昭和37年(1962年)、愛知県の水谷しづさんが脊髄カリエスという難病を患い、当寺住職の勧めで夫とともに遍路の旅に出たところ、途中で奇跡的に快癒したことから、報恩のために奉納されたものです。
それまでの43センチほどの古来の本尊は、この像の胎内仏として納められています。
境内の諸堂には、運慶・快慶の流れを汲む京都の大仏師・松本明慶師が無名時代から彫り続けた60体余りの仏像が安置されています。
大師堂の弘法大師像をはじめ、愛染明王、不動明王などが祀られています。
また性霊殿には胎蔵曼荼羅・金剛界曼荼羅が掛けられ、石壁には「五筆和尚」と称された弘法大師の様々な筆法による書が刻まれています。
- 創建
- 弘仁6年(815)
- 開基
- 弘法大師
- 宗派
- 高野山真言宗
- 御本尊
- 薬師如来(伝弘法大師作)
- 御真言
- おんころころせんだりまとうぎそわか
- 御詠歌
- かりの世に知行争うむやくなり
安楽国の守護をのぞめよ
- 住所
- 〒771-1311 徳島県板野郡上板町引野字寺ノ西北8
- 電話
- 088-694-2046
- 駐車場
- 無料(普通車80台、大型バス10台)
- アクセス
- 公式サイト
- https://shikoku6.or.jp/
- X
- https://x.com/onsenza_anraku
- https://www.instagram.com/onsenzan_anraku/
- 霊場会サイト
- https://88shikokuhenro.jp/06anrakuji/
- Wikipedia
- https://w.wiki/CCU8