第五十五番 南光坊

四国八十八箇所第五十五番札所の南光坊は、四国霊場唯一の「坊」を持つ寺院で、正式名称を光明寺金剛院南光坊といいます。
今治市の中心街に位置し、伊予一宮・大山祇神社の別当寺として長い歴史を持ちます。

推古天皇2年（594年）に大三島で創建され、大宝3年（703年）に越智玉澄が文武天皇の勅命で現在地に勧請し、「日本総鎮守三島の地御前」として奉祭しました。
弘法大師の巡錫時に第五十五番札所と定められ、24坊のうち8坊が置かれました。

天正年間（1573-92年）の兵火で一旦焼失しましたが、慶長5年（1600年）に藤堂高虎の祈願所として薬師堂が再建され、江戸時代には今治藩主・久松家の祈祷所となりました。

明治の廃仏毀釈で大山祇神社と分離し、本地仏の大通智勝如来と弥勒・観音両菩薩像が薬師堂に移されました。
昭和20年（1945年）の空襲で大師堂と金比羅堂以外を焼失しましたが、昭和56年（1981年）から平成10年（1998年）にかけて本堂、薬師堂、山門が順次再建されました。