第二十三番 薬王寺
薬王寺について
四国八十八箇所第二十三番札所である薬王寺は、阿波最後の霊場で「発心の道場」と呼ばれ、高野山真言宗の別格本山です。
全国的に名高い厄除けの寺院として、古くから篤い信仰を集めてきました。
寺の創建は神亀3年(726年)、聖武天皇の勅願により行基菩薩によって始まります。
その後、弘仁6年(815年)に弘法大師が平城上皇から民衆の厄除け祈願寺を開くようにとの勅願を受け、自ら厄除薬師如来坐像を彫造して本尊とし、厄除けの根本祈願寺としました。
この厄除け本尊の功徳は、平城天皇、嵯峨天皇、淳和天皇の三代に相次いで奏上され、各天皇の深い帰依を得て官寺となりました。
文治4年(1188年)の火災で諸堂が焼失した際、本尊は光を放ちながら奥の院・玉厨子山に自ら避難したと伝えられます。
後に後嵯峨天皇が伽藍を再建して新しい薬師如来像を開眼供養すると、避難していた本尊は再び光を放って戻り、後ろ向きに厨子に入ったとされ、以来「後ろ向き薬師」として秘仏となっています。
薬王寺の特徴的な参拝路には、鯉の泳ぐ用水路に架かる「やくよけばし」があり、その先には三つの石段が続きます。
本堂に向かう最初の33段は「女厄坂」、続く急勾配42段は「男厄坂」、さらに本堂から瑜祇塔までの61段は男女の「還暦厄坂」と呼ばれています。
各石段の下には『薬師本願経』の経文が書かれた小石が埋め込まれ、参拝者は一段ごとに賽銭を供えながら登ります。
境内の絵馬堂には厄除け臼があり、自分の年齢の数だけ杵でつきながら厄除けを祈願する風習も残っています。
男厄坂を上がった広場や瑜祇塔からは、日和佐の街並みとウミガメの来訪で知られる海を一望することができます。
このように薬王寺は、歴代天皇の信仰を集め、嘉禄2年(1226年)には土御門上皇の行在所ともなった由緒ある寺院で、今日も厄除けの霊場として多くの参拝者を迎えています。
- 創建
- 神亀3年(726)
- 開基
- 行基菩薩
- 宗派
- 高野山真言宗
- 御本尊
- 厄除薬師如来(伝弘法大師作)
- 御真言
- おんころころせんだりまとうぎそわか
- 御詠歌
- 皆人の病みぬる年の薬王寺
瑠璃の薬をあたえましませ
- 住所
- 〒779-2305 徳島県海部郡美波町奥河内字寺前285-1
- 電話
- 0884-77-0023
- 駐車場
- 無料(普通車350台、マイクロバス・大型バス10台)
- アクセス
- 公式サイト
- https://yakuouji.net/
- https://www.facebook.com/yakuouji23
- https://www.instagram.com/yakuouji23/
- 霊場会サイト
- https://88shikokuhenro.jp/23yakuoji/
- Wikipedia
- https://w.wiki/CCUp