第二十番 鶴林寺
鶴林寺について
四国八十八箇所第二十番札所である鶴林寺は、「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」と言われる遍路の難所の一つで、標高470メートルの鷲が尾山頂に位置しています。
境内からは紀州や淡路の山々、遥かに太平洋まで望むことができ、樹齢千年を超える老杉や檜、松の巨木が参道を覆う荘厳な霊山です。
延暦17年(798年)、桓武天皇の勅願により弘法大師が開創した寺には、美しい縁起が伝えられています。この地で修行中の大師のもとに、雌雄二羽の白鶴が交互に翼を広げ、小さな黄金の地蔵菩薩を守護しながら老杉の梢に舞い降りてきました。
この光景に感動した大師は、近くの霊木で高さ約90センチの地蔵菩薩像を彫造し、その胎内に白鶴の守護した一寸八分の金色の地蔵菩薩を納めて本尊としました。
この出来事にちなんで寺は「鶴林寺」と名付けられ、本尊は現在、国指定重要文化財となっています。
また、境内の山容がインドの霊鷲山に似ていることから山号を「霊鷲山」と定め、本堂の両脇と仁王門には白鶴の像が一対ずつ置かれて、今なお本尊を守護しているかのようです。
なお、運慶の作と伝えられる仁王門の仁王像や、六角地蔵堂、忠霊殿、護摩堂、三重塔なども見どころとなっています。
鶴林寺は歴代天皇の帰依が篤く、源頼朝、源義経、三好長治、蜂須賀家政といった武将たちからも深い信仰を集めました。
山頂の難所という立地から、天正の兵火(1573-92)の際も焼失を免れ、七堂伽藍の荘厳さを保ち続けています。
親しみを込めて「お鶴」「お鶴さん」と呼ばれる鶴林寺は、山鳥が舞う豊かな自然に抱かれた霊場として、今日も多くの参拝者を迎えています。
また、向かい合う位置にある第二十一番札所・太龍寺が金剛界道場であるのに対し、鶴林寺は胎蔵界道場とされ、両寺は密教の世界観を体現する重要な霊場となっています。
- 創建
- 延暦17年(798)
- 開基
- 弘法大師
- 宗派
- 高野山真言宗
- 御本尊
- 地蔵菩薩(伝弘法大師作)
- 御真言
- おんかかかびさんまえいそわか
- 御詠歌
- しげりつる鶴の林をしるべにて
大師ぞいます地蔵帝釈
- 住所
- 〒771-4303 徳島県勝浦郡勝浦町生名鷲ヶ尾14
- 電話
- 0885-42-3020
- 駐車場
- 有料
- アクセス
- 霊場会サイト
- https://88shikokuhenro.jp/20kakurinji/
- Wikipedia
- https://w.wiki/CCUh